今回は「食いしばり」についてスポーツの観点から考えていきます。
一般的に歯を食いしばると運動能力は上がると考えられているかと思います。
グッと食いしばるとなんとなく安定して力はかけやすいイメージがありますよね?
熱血系の監督が「歯くいしばれ!!」と言ってガムシャラに指導している時代もあったかと思います。
確かに食いしばると力はかけやすいです。
しかし、実際のトップスポーツ選手はあまり食いしばっていない例が多数あります。
まず、ハンマー投げの室伏広治選手です。
彼はハンマー投の際には実は歯を接触させません。1ミリ程度歯と歯に隙間を開けている(下顎安静位)とのことです。
次はテニスプレーヤーの錦織圭選手です。
錦織選手はフォアハンドの際に顎を右にずらした状態になるとのことです。
2017年の日本歯科医学会の記事によると他にも食いしばらずにスポーツを行なっている例はあるとのことです。
では食いしばりとはどのような能力を向上させるのでしょうか?
それはアイソメトリックな動きを行う際に食いしばりは力を発揮するのです。
アイソメトリックとは等尺性収縮を伴う運動のことです。
つまり動かないものを持ち上げようとするなど、動きを伴わないで力を入れる運動のことです。
食いしばる事は口の周りの筋肉や関節をロックすることで安定した姿勢を保つことには優れていますが、逆に動きを伴う運動の際にはロックが邪魔になりスムーズに動くことを妨げます。
よってどのスポーツにも食いしばる事が良いわけではなく、逆に結果が悪くなる可能性があります。
以下が速さと力のバランスを示したスポーツの一覧です(日本歯科医学会、「アスリートの最大能力発揮支援に歯科が動く!」より抜粋)。
上の図の右のほうの力・バランス系の数値が高いスポーツは食いしばることでパフォーマンスは上がるでしょう。
球技にはあまり向いていないみたいですね。
スポーツの体の使い方ごとに顎の適正な位置があるということですね。
何でもかんでもやみくもに食いしばろうとする事はやめましょう。
食いしばりは歯科的にはあまり良くない癖と言われています。
歯は硬い組織ですが、割れたり削れたりするものです。また顎が痛くなったり、知覚過敏が起きるなどの症状が出る場合もあります。元には戻りません。
ですので日常生活で歯はお食事以外は接触させないようにといつも指導しております。
食いしばって能力が向上するスポーツを行なっている方は是非マウスピースを着用して行いましょう。
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